Topics 仙台アセットコンサルタンツ株式会社

Topics ~不動産鑑定評価の話題~

2012.04.03  


 宮城県が、東日本大震災で被災した沿岸15市町で行った不動産鑑定評価の結果が公表され、津波被害がなかったと仮定した場合におけるH24.4.1現在の価額との比較では、宅地の平均で81.5%、特に被害の大きかった石巻市で74.5%、気仙沼市で77.1%の評価となりました。
 今回の鑑定評価は、津波により浸水した地域において、宮城県が災害復旧・復興事業として実施する海岸堤防や道路等の整備に際して必要となる事業用地の中から選定された地点について実施されたもので、鑑定評価の結果は、被災市町に対しても情報提供されるとのことです。

  鑑定評価の結果について

  • 今回鑑定評価が行われたのは、東日本大震災で被災した沿岸15市町内における136地点(宅地93地点、農地29地点、山林等14地点)であり、評価額は、被災前価額の61%~100% の範囲で、全地点の平均は84.6%でした。最小は石巻市長面の宅地で61%、最大は多賀城市笠神の宅地外14地点で被災前価額まで回復している状況が見られました。
  • 市町別で見ると、宅地で平均80%を下回ったのは、石巻市、山元町、南三陸町等3市5町であり、一方で、利府町・多賀城市・松島町・塩竈市は90%を上回る結果となりました。
  • 農地は、除塩の見通しが立っている等の理由で平均90.6%となり、津波の影響が小さく、高台移転の需要も見込める山林等は平均92.3%となりました。

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2012.03.22  


 地価公示は、地価公示法に基づいて、土地鑑定委員会が毎年1月1日における標準地の正常な価格を不動産鑑定士等の鑑定評価を求めた上で判定するもので、今回の調査地点数は26,000地点(宮城県内:569地点)となっています。

  全国及び宮城県の地価動向について

  • 平成23年1月以降の1年間の地価変動率は、全国平均で住宅地▲2.3%(前年▲2.7%)、商業地▲3.1%(前年▲3.8%)となり、全国的にはリーマンショック後における4年連続の下落となりましたが、下落幅はやや縮小しています。東日本大震災の影響により、不動産市場は一時的に停滞しましたが、被災地を除き、比較的早期に回復傾向を示しています。一方で、円高、欧州債務危機等の先行き不透明感による地価への影響も見られます。
  • 東日本大震災の被災地における土地への需要は、被災の程度により差が見られ、特に宮城県では浸水を免れた高台の住宅地等に対する移転需要が高まり、地価の上昇地点が見られました。岩手県は前年と同程度の下落率を示し、福島県は前年より大きな下落率を示しています。
  • 宮城県内における地価動向について、県全体における全用途の平均変動率は▲1.7%で、昨年より2.1ポイント下落幅が縮小しました。昨年は全用途のうち、上昇地点はなく、横這い地点が3地点でしたが、今年は、震災による移転需要や政策効果の影響もあり、全用途のうち、上昇地点は68地点、横這い地点は70地点に達し、いずれも大きく増加しています。

「平成24年地価公示」 国土交通省ホームページへのリンク

2011.09.20  


 都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年7月1日における調査地点の正常価格を不動産鑑定士の鑑定評価を求めた上で判定するもので、今回の調査地点数は22,460地点(宅地:21,888地点, 林地572地点)となっています。

  全国の地価動向について

  • 2011年の基準地価(7月1日時点)は、全国の全用途平均で前年比3.4%下落し、下落率は10年(3.7%)から縮小しましたが、20年連続の下落となりました。用途別では、住宅地3.2%、商業地が4.0%の下落となっています。
  • 東日本大震災の発生前までは、住宅ローン減税等を背景に全国的に持ち直し傾向にありましたが、震災以降は東京圏・名古屋圏で下落幅が広がりました。また、震災被害を直接受けなかった関西以西の地域では、地価の下落幅が縮小する地域が多く見られます。
  • 一方、地方圏では、人口減少等に伴う需要減、中心市街地の衰退等により全体としては下落が継続しており、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城・岩手・福島の被災3県では、津波浸水域の下落幅の大きさが際立つ結果となりました。

「平成23年都道県地価調査」 国土交通省ホームページへのリンク

2011.07.01  

 例年7月に国税庁によって公表される路線価は、相続税や贈与税の税額算定基準となる土地の評価額で、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基に決められます。
 2011年分における全国の標準宅地の平均変動率は、前年比で3.1%の下落となり、下落幅は前年より1.3ポイント縮小しました。

  東日本大震災の影響について

  • 東日本大震災により相当な被害を受けた地域内にある土地等については、相続税や贈与税の税額算定において、その取得の時の時価によらず、「震災後を基準とした価額」によることが震災特例法によって規定されています。この特例によれば、原則として震災による地価下落を反映した「調整率」を地域ごとに定め、2011年分の路線価及び評価倍率(評価時点:1月1日)に、この調整率を乗じて計算することができます。
  • 路線価の調整率は、阪神大震災(1995年)で初めて導入され、兵庫県と大阪府の25市町を82のブロックに分け、現状そのままの1.0倍から0.75倍まで6段階の調整率が設定されました。東日本大震災に係る調整率については、国税庁が今秋に公表する予定です。

「2011年分路線価」 国税庁ホームページへのリンク

2011.06.27  


 社団法人日本不動産鑑定協会では、東日本大震災の被災地における不動産の鑑定評価に当たって不動産鑑定士が実務上留意すべき事項について取りまとめ、このほど「運用指針(№1)」を公表しました。
 福島第一原子力発電所の事故に伴う影響や復興事業の動きにより、今後、被災地を中心とした地域環境に大きな変化が生じていくことも予測され、土地等の評価の必要性も変化することが見込まれます。

  被災地における鑑定評価について

  • 被災地における鑑定評価にあたっては、本運用指針に準拠して、東日本大震災の震災被害に起因して生じた価格形成要因を適切に反映させることが必要となります。
  • 被災地における鑑定評価について、本運用指針のほか、一般財団法人日本不動産研究所によって調査報告書「東日本大震災に関する土地評価」が公表され、不動産取引市場の機能が回復するに至っていない時期において、被災地の鑑定評価を行う場合の考え方が示されています。
  • ただし、震災によって対象不動産の物的確認が難しい場合や最有効使用の判断ができない土地については、鑑定評価の実施が困難となることもあります。また、国や地方公共団体が策定する復興計画等に係る内容をどのように鑑定評価に反映させるかについて、慎重な判断が求められます。

(社)日本不動産鑑定協会ホームページへのリンク

2011.03.18  

 地価公示は、地価公示法に基づいて、土地鑑定委員会が毎年1月1日における標準地の正常な価格を不動産鑑定士等の鑑定評価を求めた上で判定するもので、今回の調査地点数は26,000地点(宮城県内:569地点)となっています。

  全国及び宮城県の地価動向について

  • 全国の地価動向について、平成20年秋のリーマン・ショック以降、地価の下落が継続する中で、初めて東京圏、大阪圏、名古屋圏及び地方圏そろって下落率が縮小し、経済状況の不透明感は残るものの、下落基調からの転換の動きが見られました。この動きは、地方圏よりも大都市圏で、また、商業地よりも住宅地において顕著であり、商業地においても地価の下落率が縮小して、住宅地の下落率と大差のない状況に近づいます。
  • 宮城県の地価動向について、住宅地は景気の持ち直し傾向により、平均変動率は昨年より下落幅が縮小して△2.9%となり、仙台市は△2.2%で、大方の市町村も下落幅の縮小傾向が見られます。また、商業地の平均変動率についても昨年より下落幅が縮小して、△8.3%から△6.5%となりました。

「平成23年地価公示」 国土交通省ホームページへのリンク

2010.09.21  


 都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都道府県知事が毎年7月1日における調査地点の正常価格を不動産鑑定士の鑑定評価を求めた上で判定するもので、今回の調査地点数は22,701地点(宅地:22,129地点, 林地572地点)となっています。

  全国の地価動向について

  • 2010年の基準地価(7月1日時点)は、全国の全用途平均で前年比3.7%下落し、下落率は09年(4.4%)から縮小しましたが、19年連続の下落となりました。用途別では、住宅地3.4%、商業地が4.6%の下落となっています。
  • 東京、大阪、名古屋の三大都市圏では3.2%の下落で、下げ幅は09年(6.1%)から半減となり、一部で底打ち感も出始めておりますが、このところの急激な円高と株安によって景気の先行き不安は高まっており、地価が下げ止まるかどうかは不透明な状況にあります。
  • 一方、地方圏では、人口減少や中心市街地の衰退といって構造的な要因もあり、住宅地で3.6%、商業地で4.8%の下落となり、住宅地・商業地とも前回とほぼ同じ下落率を示しています。

「平成22年都道県地価調査」 国土交通省ホームページへのリンク

2010.05.31  


 平成22年度税制改正により、100%グループ法人間で一定の資産(土地・建物等の不動産や有価証券・金銭債権等で帳簿価額が1千万円以上のもの)の譲渡取引が行われた場合に生ずる譲渡損益については、その資産がグループ外に移転する等の時まで計上が繰り延べられることとなります。
本改正は、平成22年10月1日以後の取引について適用されます。

  本改正による影響について

  • 現行法制であれば、含み損のある資産を有する法人からグループ内の法人に対して資産を譲渡した場合には、損失が実現して法人税の課税所得は減ることになりますが、本改正によりグループ外への譲渡の場合にのみ損失が実現することになります。
  • 株式評価において、含み損のある資産をグループ内の法人に譲渡して譲渡損失を計上することにより株式評価額を下げるという株価対策は今後実現困難になります。

   本改正により、不動産の含み損をグループ法人間の取引によって実現させて法人税の
  節税を図ることができなくなります。
   一方で、グループ法人間で資産を移転するに際して、税務面の問題を検討する必要が
  無くなり、グループ全体の経営資源の最適配分という視点から、各資産の管理・活用を検
  討することが必要になるものと思われます。

本税制改正についての詳しい内容等については、顧問税理士・専門家等にご相談ください。